涙が止まらない
ワタクシの職場は「蕎麦屋」である。
まぁ、ラーメン屋よりは、いわゆる「高齢の方」が入って来やすいだろう。
食べ物の種類的にも、ね。
以前にも老夫婦とのやりとりをちょっと書き出した事がありますが・・・
今日は また別のご夫婦のお話を。
いつもチャキチャキ、小柄だけど元気でよく喋るバァちゃん。
もーん、としてるけどいつも機嫌が良くてニコニコしてるジィちゃん。
何年も前から、よく来てくれて、二人ともカレーが好きで、うどんも好きで。
「お医者さんにね、通ってるのよ、その度に寄らせてもらってるの」
「あちこちポンコツだからね〜アーッハッハッハ!」
バァちゃんが話してる間にもジイちゃんはニコニコ。
以前にちょっと会話した時に「昭和ヒト桁」という話題になり・・・
偶然にもワタクシの父母とまったく同い年コンビである事が判明して、あらあら、と向こうもなんだか嬉しそうにしてくれて・・・「いらっしゃいませ」だけじゃないお客様、みたいになっておりました。
今日、バァちゃん一人でやってきて。
前にもちょこちょこ一人で来てて、「お父さんスネちゃうと、ソト出ないのよ〜」なんて言ってたし。
ま、通院の都合とかもあったんでしょうが・・・・
「今日は、冷たいおうどんにするわ!」って勢い込んで。
はいどーぞ、とお渡しして。
なんとなく「今日はジィちゃんは?」って聞こうかな・・・どうしようかな、って迷った。
迷ったんです。
・・・意外と早めに、「ごちそうさま〜」って大きな声とともにカウンターにお盆持って来た。
(ちょっと残してる)
「ごめんねぇ〜、やっぱりまだ慣れないのよね〜」
「どうしたの?」
「入れ歯にしたのよ!ほらっ!全部よ〜」
「あ〜、最初は難しいって聞いたことありますね〜」
「歯、悪くなっちゃったんですか?」
「ううん、ほら、おジィちゃん亡くなっちゃったから」
「え?」「え?」「ええっ!」
「いつですか・・・?」
「2月・・・だったかな〜、あのね、インフルエンザ」
「一ヶ月、もたなかったわね〜」
(オイ、とココロの中で軽くツッコミ)
「(歯は)ずーっと良くはなかったけどねぇ、やっぱり見せたくないじゃない・・お父さんにさぁ・・・入れ歯の女房なんてさぁ・・ね?」
「だからねぇ、もういいのよ、だから入れ歯にしちゃったのよ!!」
「もうずーっとここのおうどんの味を思い浮かべてたのよ〜・・・でも、まだまだ練習しなきゃダメねぇ〜!アッハッハッハ!」
「また来るわねぇ〜 (*゚∀゚)ノシ」
「ありがとうございました!」
それしか言えなかった。
どんどんお客さんは入ってくるし、でも喉が詰まったみたいになっちゃうし。
声を出す。「いらっしゃいませー」「もりそばのセットでいいですか?」
「はい、ゆで上がり、もう少々お待ちくださぁい!」
声を出し続けてないと、本当にダメだった。
はぁ、書いたら少し落ち着いた。
※写真はイメージ・フォトです